EU環境規制強化が日本企業へ与える影響

2025年からEUは衣料品の廃棄を法的に禁止する

欧州連合(EU)は、2023年12月にアパレル関連の業者が売れ残った衣類や靴などの廃棄を禁止する「エコデザイン規制」の暫定合意に達しました。この規制は、2025年から施行される予定で、中小のアパレル事業者は6年間の猶予期間が設けられています。

 具体的には、売れ残りや返品となった衣料品をそのまま廃棄することが禁止されます。売れ残った衣料品を廃棄した事業者は、廃棄した衣料品の数量とその理由を毎年報告する義務が発生します。

 また、この規制を実行するツールとして導入しようとしているのが、「デジタル・プロダクト・パスポート(DPP)」です。D P Pの導入によって、原材料やリサイクルなど、情報の透明性とトレーサビリティを保証することが可能になります。

懸念しなければいけないユニクロなどの日本企業

欧州で売上を伸ばしている、ファーストリテイリングのユニクロも法案成立後、2年後から廃棄の禁止が適用されます。
ユニクロは、大量生産・大量消費のビジネスモデルを特徴としているため、生産計画の見直しや余剰在庫の発生を抑制するための新しいシステムの構築が必要になります。

 また、リサイクル事業の強化や長く愛用するための製品設計の変更など、廃棄衣類を出さないための多くの障壁があります。
ユニクロは、すでにリサイクル素材の使用拡大やリペアサービスの提供など、サステナビリティに向けた取り組みを行っていますが、EU規制に対応するためには、より一層の努力が必要になってきます。  

ファッション業界の構造改革を促すか

EUの環境規制強化は、日本企業にとって大きな課題となる一方で、新たなビジネスチャンスを生み出す可能性も秘めています。環境に配慮した製品やサービスを提供することで、グローバルな競争力を高めることができるようになります。

 また、デジタルプロダクトパスポート(D P P)は、製品のライフサイクル全体を可視化し、サステナブルな社会の実現に貢献するための重要なツールです。今後、ますます多くの製品にD P Pが導入され、消費者の購買行動や企業の生産活動に大きな影響を与えることが期待されます。

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