マイクロファイバー汚染とは
マイクロファイバー汚染とは、合成繊維の衣類や繊維製品などの製造や使用、廃棄の過程で発生するマイクロファイバーが海洋や土壌、大気などを汚染する問題です。
マイクロファイバーは、ポリエステルやナイロンなどの合成繊維を原料とする極細繊維で、髪の毛の100分の1以下の大きさです。洗濯や乾燥の際に繊維が抜け落ち、排水処理施設のフィルターをすり抜けて海に流れ込むことで海洋汚染を引き起こします。
マイクロファイバーは、汚染物質を引き寄せ、排水システムで洗剤や難燃性化学物質から有毒物質を吸収する性質があります。また、海に流れ込んだマイクロファイバーは、プランクトンなどの海洋生物が摂取し、さらに大きな魚やクジラがそれらを食べることで、食物連鎖のなかで人間の食卓に並ぶ可能性があります。驚くべきことに私たちが消費する魚介類の 4 分の 1 にはマイクロプラスチックが含まれており、この問題が解決されない限り、この数は増加するばかりです。
(出典元:good on you/洗う時も、着ている時も、プラスチックが放出されている。洋服のマイクロプラスチック問題をどうする?)
汚染発生源の上位国は、中国、インドネシア、米国、スリランカ、インド。
理由として、人口規模や繊維製品の消費量だけでなく、繊維生産における「サイクルや、人工1人あたりの排水処理施設の整備状況が相対的に低水準であることが挙げられます。
(出典元:MUFGファースト・センティアサステナブル投資研究所/マイクロファイバー汚染)
マイクロファイバー汚染を食い止めるには、生活排水や産業排水などの排水処理施設での処理が有効です。
マイクロファイバーが与える影響とは
環境への影響
マイクロファイバーは、繊維製品や衣料品などの製造や使用、廃棄の過程で排水や大気、土壌に放出されます。自然環境に広く分布し、生分解性が低いため、地球上のほぼすべての生息地で検出されています。海洋生物がマイクロファイバーを摂取すると、内分泌かく乱作用や有毒性、腸閉塞、繁殖力の低下、死亡などの影響が確認されています。
人体への影響
マイクロファイバーは、肌の油分を奪ってしまうため、乾燥肌や肌の弱い人にはおすすめできません。また、マイクロファイバーの繊維は鋭い角をもっているため、肌を傷つけやすいというデメリットがあります。皮膚がデリケートな人は赤みや炎症、乾燥肌の人は肌の乾燥を悪化させる原因になることがあります。
一部の場合では、マイクロファイバーの素材に対するアレルギー反応が出て、かゆみや発疹などの症状が現れることがあります。
また、皮膚アレルギー反応だけでなく、マイクロファイバーは呼吸器障害を引き起こす可能性もあります。 呼吸器を塞いだり、鼻水、くしゃみ、涙目を引き起こすことがあります。 さらに、マイクロファイバーを吸い込むと、喘息、気管支炎、または炎症などのより深刻な問題につながる可能性があります。
私たち1人1人ができること
衣類の選び方を見直す
コットン、ウール、リネンなど、天然素材の衣類を選ぶようにしましょう。合成繊維に比べてマイクロファイバーの排出が少なくなります。また、肌に優しく、吸湿性・保湿性に優れているため季節を問わず快適に着用することができます。
低品質な製品は、洗濯の際に多くの繊維が抜け落ちてしまう可能性があります。耐久性が高く、長持ちする高品質な製品を選びましょう。
例えば10年着ても縮まないブランド「GoodOn」などの製品を選ぶと長く着用することができます。https://www.good-on.com(公式サイト)
その他にもリサイクルポリエステルなど、リサイクル素材で作られた製品を選ぶことも良い選択肢です。
洗濯方法を変える
汚れがひどい時以外は、洗濯の回数を減らしましょう。私は数年前までは一度着用したら洗濯するようにしていましたが、マイクロファイバー汚染に関心を持つようになってからは汚れがひどい時と匂いが気になる時に洗濯をするようにしています。
洗濯の際は、洗濯ネットに入れて冷水で洗濯することによって繊維の摩擦を抑えることができ、繊維の抜け落ちを防ぎます。
洗剤は環境に優しい洗剤、主に植物由来の再生可能な成分で作られている洗剤を使用することで、排水後に分解されるため、自然を汚染しにくいです。
洗濯機の排水口にマイクロファイバーフィルターを取り付けることで、洗濯時に排出されるマイクロファイバーを捕捉できます。
洗濯後は風通しが良い場所で自然乾燥を行うことで、雑菌の繁殖を抑え、消臭やダニ防止の効果が期待できます。
自然乾燥は、電気やガスの使用しないため省エネで環境に優しい方法としてとても適しています。
まとめ
マイクロファイバー問題は、まだまだ解明されていない部分はありますが、私たち一人ひとりの小さな行動の積み重ねによって少しずつですが解決に近づける問題だと感じています。日々の買い物で長く着用できる洋服を選ぶことを意識したり、洗濯の回数を減らすために汚れや匂いがひどい時以外は洗わないなどの取り組みを日常生活で取り入れることで、海を守り、より持続可能な社会の実現に貢献することができます。