あなたが毎日着ている服の繊維の特徴は知っていますか?

植物繊維

1. 綿

綿は非常に古くから用いられており、人間と綿との付き合いは長く約5000年前にさかのぼるといわれています。
綿は「あおい科」に属し、きれいな花をさかせます。
花がさいた後にできる、コットンボール(実)が成熟し、はじけ、中から白い綿繊維があふれ出ます。
それが綿(綿花)です。綿花は世界60カ国以上で栽培されており、最も身近な繊維です。
綿の品質は産地や品種により異なっており、もっとも重要な品質は繊維長です。
繊維長が長いほど良質なものといわれています。

良い特徴   肌触りがよく涼しい。吸水性に富み、熱に強くて丈夫。染色性や発色性に優れている。
悪い特徴 縮みやすい。シワになりやすい長時間日光にあたると黄変しやすい。

 

 2.麻

麻は非常に古い繊維で特にリネンは人類が用いた最古の繊維とされています。
一口に麻と言ってもその種類は20種近くに及んでおり、植物から繊維を採集する部分(靭皮繊維・葉脈繊維)で大別しています。
マカロニのように中央に大きな穴が開いており、繊維が吸ったり吐いたりする力を持っています。

良い特徴   通気性が良く、水分の吸湿や発散性に優れているため、清涼感がある。シャリ感がある。水に濡れると強くなる。
悪い特徴   シワになりやすく、摩擦で毛羽立ちやすい。保湿に乏しい。濃い色は白けやすい。

 

動物繊維

 1.絹(シルク)

古来より繊維の中でもっとも美しいものとされています。
蚕の繭から繰り取った糸を生糸(きいと)といい、1粒の繭から約1500mぐらいの細く長い糸が取れます。
生糸の断面は2本のフィブロインやセリシンが覆う形で構成されています。
セリシンは水やアルカリで溶けやすく、精錬する事で除去され、美しくしなやかなフィブロインが取れます。このような工程を練るといいます。
天然繊維の中ではもっとも細い(髪の毛の約30分の1)長繊維です。

良い特徴 美しい光沢がある。ドレープ性が特徴肌触りが良い風合が良い。保温性・保湿性・発散性に優れている。
悪い特徴   シミになりやすい。酸やアルカリに弱い。水に濡れると縮みやすい。汗・雨に弱く鮮やかな色ほど色落ちしやすい。熱に弱い。害虫を受けやすい。

 

 2.羊毛(ウール)

羊は人間にもっとも近い家畜として有史以来殆どの世界全域で飼育されています。
各地で品質改良が続けられ今日の良質の毛を生産するようになりました。
現在羊の種類は3,000種以上にのぼります。

良い特徴   繊維の太さが平均して細い規則正しい縮れ(クリンプ)が数多くある。保温効果が高く伸縮性に優れ、弾力性がある。水をはじきやすく、湿気をよく吸収する。シワになりにくく、型崩れしにくい。
悪い特徴   虫がつきやすく毛玉ができやすい。縮みやすい。フェルト状になる。

 

再生繊維

 1.レーヨン

主原料は木材パルプ。
木材の中にある繊維素(セルロース)を取り出して糸としています。
精製されたパルプに薬品を加え粘性の溶液(ビスコース)とし、それをまた繊維状に再生しています。

良い特徴 吸湿性・吸水性が良い。光沢があり着心地が優れているドレープ性がある。染色性が良い。
悪い特徴 水に濡れると強度が半分ぐらいに低下する。洗濯で縮みやすい。シワになりやすい。摩擦に弱い。水ジミができやすい。

 2.キュプラ

主原料はコットンリンター(綿の実から綿花をとったあとに残った短い繊維)で高品質な繊維素を使用しています。
レーヨンと同じ様に溶解して、また繊維状に再生しています。

良い特徴 吸湿性がよく、裏地に使用しても静電気が発生しにくい。円形断面の繊維などで滑りが良くて、絹のような光沢がある。強度もあり、縮みにくい。
悪い特徴 摩擦により毛羽立ちやすい。

 

半合成繊維

 1.アセテート

純度のよいリンターや木材パルプからとった繊維素(セルロース)と酢酸からつくられています。
酢酸の割合を多くして、より合成的性質を強めたのがトリアセテートです。

良い特徴 吸湿性がよく、裏地に使用しても静電気が発生しにくい。円形断面の繊維などで滑りが良くて、絹のような光沢がある。強度もあり、縮みにくい。
悪い特徴 シンナー・除光液などに溶ける窒素酸化ガス(ストーブや自動車の排気ガス)によって変退色をすることがある。

 

合成繊維

 1.ポリエステル

現在わが国の合成繊維の中で最も多く生産されています。
ナイロン・アクリルと並ぶ三大合成繊維のひとつです。
この繊維は合成繊維本来の機能性にコットンライクな感性をもっており、衣類用途に向いた汎用性の高い繊維であります。

良い特徴 シワになりにくい。型崩れしにくい。非常に強い。丈夫である。乾きが早い。
悪い特徴

吸湿性が少ない。静電気が起きやすい。汚れると落ちにくい。


 2.ナイロン

 ナイロンは化学繊維の中で長い歴史を持っている一つです。
成分上は絹に最も近い合成繊維といわれています。

良い特徴 非常に強い弾力に富む。織物にしてもシワになりにくい。薬品・カビ・害虫に強い。
悪い特徴 吸湿性が少ない。静電気を発生しやすい。日光やガスにより黄変する。熱に弱い。

 

 3.アクリル

ウールを目標にした合成繊維です。
ふんわり、暖かな肌触りをもったやわらかく軽い繊維です。

良い特徴 かさ高でソフト弾力性があるので、シワになりにくく軽い。(ウール・ポリエステルより軽い)発色性がある。羊毛に近い風合がある。カビ・害虫に強い。
悪い特徴 吸湿性が少ない。高温に弱い。静電気が起こり易く、汚れやすい。(ホコリをひきよせる)

 

 4.ポリウレタン

ポリウレタンは約60年前にドイツで開発されました。
伸縮自在の合成繊維で、別名スパンデックスともよばれています。
繊維自体はゴムのようによく伸び縮みをし、ゴムより老化しにくい繊維です。(寿命は製造後2~3年と言われています)
合成皮革などに用いられる特殊加工は、基布にウレタン樹脂を塗付して皮膜を作り、独特の風合や艶、性能的には保湿性や撥水性を持たせたのが特徴です。

良い特徴 伸縮性が大きい強くて丈夫。(ゴムよりはるかに強く、老化しにくい性質を持っている)ゴムより細い糸ができる糸が軽い。
悪い特徴 摩擦に弱い。合成皮革は表面がはがれたり、風合が変化しやすい。(2~3年)紫外線の影響で黄変することがある。塩素に弱い。
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